By KOBEホワイトニング Posted 2023-03-24
テトラサイクリン歯について
テトラサイクリン歯とは、歯の形成期(0~12歳頃)において、一定期間に大量のテトラサイクリン系の抗生物質を摂取する事で、歯の象牙質や骨に着色し歯が変色してしまった歯の事を言います。歯は外側の層からエナメル質、象牙質、神経という順に三層の構造をしています。通常エナメル質は白色をしていますが、象牙質は少し黄色味がかった色をしています。テトラサイクリン系の抗生物質は象牙質に沈着し、さらに太陽の紫外線と光化学反応をして、色素沈着を引き起こしてしまう為、元々の色よりも濃い色に変色してしまいます。
歯の全体が一色に変色するというよりも、歯の根元から先端にかけてグラデーションのように変色したり、線を引いたかのような横縞模様がある方もいます。変色後の色味は灰色、黄色、オレンジ、茶色系の色が多くみられます。テトラサイクリン系の抗生物質を摂取した時期や、量、薬の種類によって変色の色味や横縞模様の濃さには個人差があります。ファインマンのテトラサイクリン変色歯分類によると、テトラサイクリンによって変色してしまった歯は第一度から第四度の4段階に分類されます。第一度は最も軽度の変色で数字が上がると変色の強い色になるという分類です。
第一度は、淡い黄色、褐色、灰色で歯全体が一様に変色している。縞模様は見られない。
第二度は、第一度よりも色が濃く歯全体が一様に変色している。縞模様は見られない。
第三度は、濃い灰色尾、青味がかった灰色をしている。縞模様が見られる。
第四度は、全体的に着色が強い。縞模様が見られる。
テトラサイクリン歯でお悩みの方は、まずご自身がどの分類に当てはまるのかを把握する事で対策や治療法が見いだせると思います。また治療法については後程詳しく説明させて頂きます。
テトラサイクリン系の抗生物質を処方される病気は、クラミジア感染症、マイコプラズマ感染などの感染症や、風邪薬、肺炎、副鼻腔炎、中耳炎などの誰でも罹患してしまう可能性のある病気です。1965~1970年あたりが最も多く風邪薬や百日咳などの特効薬として処方されていたようです。その為、50歳代の方に多くテトラサイクリン歯がみられます。
このようにテトラサイクリン系抗生物質は、歯の変色の原因となる事が分かっているため、現在は妊娠中から12歳程度までの子どもには処方されないようになったようです。しかしテトラサイクリン系の抗生物質が禁止になった訳ではなく、病気の症状に応じて処方されます。処方され気になる方は、医師、薬剤師に相談してみて下さい。
そんなテトラサイクリン系の抗生物質によって変色してしまった歯は、残念ながら歯磨きでは治すことは出来ません。しかし、目立ちにくくする方法や治療法があります。
今回はホワイトニング、パーマネントマニキュア、ダイレクトボンディング、ラミレートベニアの4つの治療法をご紹介します。
まずはホワイトニングです。
テトラサイクリンによる変色度、第一度、第二度程度の変色であればホワイトニングで目立ちにくくする事は可能です。
ホワイトニングには歯科医院で施術するオフィスホワイトニングと、自宅で行うホームホワイトニングがあります。有資格者の歯科医師または歯科衛生士が行うオフィスホワイトニングは、濃度の高い薬剤を使用できる為、得られる効果は高いです。
ホームホワイトニングは、自分専用のマウスピースにホワイトニング剤を注入し、通常1日4時間以上を2週間程度使用する事で、施術部がトーンアップします。(薬剤によって使用時間に多少の差はあります。)テトラサイクリン歯だと、効果が発揮されるまでに1か月以上かかってしまい、さらに色の後戻りも早いです。コンスタントにホワイトニングをする事で予防することは出来ます。
変色度第三度から第四度の歯は縞模様が入っている為、オフィスホワイトニングでも、ホームホワイトニングであっても均等に白くなるのは難しいでしょう。
次にパーマネントマニキュアです。
パーマネントマニキュアとは、歯を削らずに専用のお薬を歯に塗布し固めるだけで歯を白くする事ができる治療法です。テトラサイクリン歯は虫歯などで治療が必要な歯ではないので、わざわざ歯を削るという事に抵抗がある方も多いでしょう。でも、歯を白くしたい!という歯痒さがあります。そんな方には向いている治療法のひとつだと思います。
パーマネントマニキュアのメリットは、歯を削らなくて良い事です。歯を削っていないのでマニキュアを外せば元通りです。一度の治療で完成するのでメンテナンスは必要ですが、治療にあたっての通院の必要はありません。
マニキュア自体の変色はありますが、先ほども説明した通り何度でもやり替える事は可能です。歯を削らなくてもテトラサイクリン歯がキレイになるのは、すごく魅力的ですね。
メリットばかりであれば良いのですが、デメリットもあります。歯を削らず樹脂を歯の上から塗っているので、若干の歯の厚みが出てしまいます。しかし数日~1週間程度で慣れてくるとは思います。そして施術時間の問題です。1本の歯の施術時間は30分かかってしまうので、治療の本数が多い方は、かなり長時間の治療になるか、又は分割しての治療になりますので、治療期間や治療のタイミングを歯科医院と相談すると良いでしょう。また、テトラサイクリンによる変色度、第三度、第四度の方はマニキュアを塗っても元の歯の色が浮き出てくる場合もありますので、希望する歯のトーンのマニキュアが使用できない場合もあります。歯科医師としっかりと話し合ってから治療する事をお勧めします。
3つ目がダイレクトボンディングという治療法です。
ダイレクトボンディングは、施術する歯の表面を最小限に表面を一層削って、薬剤を詰めていく処置です。マイクロスコープを使用し精密に充填していくので、治療時間は1本約1時間かかるかなり精密な処置です。正直な話、出来栄えは歯科医師の腕によって全然違うと思うので、歯科医院選びがとても重要だと思います。
最後にラミネートベニア治療です。
ラミネートベニアとは、付け爪のようなものです。歯の表面を削り、型取りをしたセラミックを専用の接着剤で貼り付けます。被せ物と違って歯の全体を覆う訳ではなく、歯の表面だけ人工物が貼り付けられるので、歯の裏側は自分の歯質です。パーマネントマニキュアと似ていますが、ラミネートベニア治療は、歯を一層削ってから貼り付けるので、パーマネントマニキュアに比べても接着面がしっかりしており剝がれ落ちる可能性はほぼありません。しかし、施術した歯を酷使して使用するのはNGです。デメリットは、歯を削って行う治療なので後戻りはできませんし、治療後もしみやすい場合があります。
いかがでしょうか?ご自身にあった治療法はありましたか?いずれも保険外治療です。多数歯になれば大きな出費ですし、大切なご自身の歯なので、トラブル防止のためまずはインフォームドコンセントを行いましょう。