By KOBEホワイトニング Posted 2021-09-03
~妊娠前から出産後までの注意点~
今までは歯医者に通わなかったけど、妊婦になり妊婦検診を勧められ、妊婦歯科検診に来院される方結構多いです。
この時に「歯科にかかるにはどれくらいぶりですか?」という問いに「小学生の頃が最後です。」との驚きの返答があったり「10年以上行ってないです。」や「記憶にありません。」という方かなりいらっしゃいます。
女性の皆さんはいかがですか?
妊娠中は悪阻があったり、食べ物の変化によって口腔内の状況がとても変化しやすい時期なのです。
変化というのは良い方に変化するのではなく、明らかに悪い方向に変化します。
なので産婦人科等で歯科検診を進められる訳です。
では、妊娠中に起こり得る、お口のトラブルを時期別に紹介します。
妊娠初期(4~15週ごろ)は、女性ホルモンの濃度、分泌量が増加します。
その影響で唾液の出る量が著しく減り、お口の中が不潔になりやすいです。
唾液の作用には自浄作用と言って、唾液が食べカスを流してくれる働きがあります。
(流す作用といっても全てではありません。歯磨きは必要です。)
自浄作用が低下してしまう事で、口腔内に汚れが溜まり虫歯や、歯周病、口臭を発生させてしまいます。
妊娠初期は悪阻が酷く、歯磨きさえもできないという方も多いと思います。
そういう方はさらに注意が必要となります。
妊娠中期(16~27週ごろ)は、悪阻も落ち着き安定期に入ります。
お腹も少しずつ大きくなり胃が圧迫され、普段食べる量が一度で食べることができなくなります。
その結果食事回数が増え、虫歯や歯周病のリスクがまた増えてしまいます。
食事や間食の回数が増えると口腔内の状況が悪くなり、虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、虫歯や歯周病から歯を守るようにしなければなりません。
妊娠後期(28~40週)は、出産を意識するものの、お腹が重く体を動かす事も億劫になってしまうような状態です。
多少の歯肉の腫れでも、歯科医院の受診の優先順位は低くなってしまいがちです。
こうならない為に普段からの口腔ケアが大切となります。
このように時期によって体調の変化や、体の変化に伴い様々なトラブルが起きますが、時期を問わず、妊娠中は歯周病や虫歯の危機感を常にもっておかなければなりません。
しかし、歯磨きを頑張りたくても、妊娠中は悪阻がキツく、歯磨きも困難で妊娠性歯周病に罹患してしまう事も多くあります。
歯磨きがつらい時は少し工夫が必要となります。
そこで5つの方法がありますので、ご自身に合う対処法で体調に合わせて少しでもケアしてみて下さい。
1.ヘッドの小さな歯ブラシを使用するという事です。
ヘッドの大きい物だと下の奥歯の内側など磨こうとすると、吐き気を誘発させてしまいます。
出来る限り小さなヘッドの歯ブラシを選ぶか、元々お口が小さい方は小児用の歯ブラシを使用すると良いと思います。
2.目の付きやすい所に歯ブラシを置いておく。
これは、体調のいい時に歯磨きがいつでもできるようにする目的です。
3.歯磨きの粉の選択肢を自分に合ったものに変更。
歯磨き粉の味が受け付けなかったりする場合は、何も付けずに磨きましょう。
意外とミントのキツイ歯磨き粉の方がさっぱりしてよいという意見もありますので、ご自身の体調によって使用しましょう。
泡立ちの少ないジェルタイプの歯磨き粉も人気です。
4.食後はしっかりとうがいをしましょう。
歯磨きができない場合は、強めのうがいをします。
全ての汚れが取れるわけではありませんが、しないのとするのでは、うがいをした方が少しでも汚れが減りますので、ブクブクうがいでしっかり食べカスを口腔外に出しましょう。
5.キシリトールガムを食べましょう。
歯磨きのしんどい時は、口腔内の汚れを出来る限りうがいで取り、分量を守った上でキシリトールガムを摂取してください。
キシリトールを摂取しすぎると、お腹が緩くなったり100%キシリトールガムでないと虫歯にはなってしまう可能性があるので要注意です。
決してキシリトールガムを食べる事で虫歯にならない訳ではありません。
妊娠中は、使用できる麻酔や服用するお薬に制限がかかります。
妊娠後期には仰向けでの治療が苦しく、治療を受ける事自体が難しくなります。
先ほども書いたように、悪阻が収まる安定期に入れば、歯科受診をしてみて下さい。
一番良いのは、「妊娠をしたから歯医者に行く」とか、「安定期に入ったら歯医者に行く」という考えではなく、「妊娠前から定期的に歯科受診をする」という事です。
産まれてくる赤ちゃんの為にも、普段から歯科受診を習慣化し、お口の中の環境を整える事が大切です。
出産後は、お子さんに付きっ切りなると思います。
初産の方は初めての事だらけで自分にかまっている余裕はありませんよね…
しかし一生の虫歯のリスクが2歳半までに決まってしまうとすれば皆さんどうですか?
生後3か月までの赤ちゃんの口腔内は無菌状態です。
産まれて来てから、人から人に感染するのです。
主な感染経路は養育者である父親、母親です。祖父母も一緒に暮らしている場合はそれも感染経路になるでしょう。
虫歯菌が感染してしまう時期は、1歳6か月~2歳7か月までと言われます。
この間の時期が一番虫歯がうつる確率が高いのです。
そしてうつってしまった時期もとても大切なのです。
虫歯菌がうつる時期が早ければ早い程虫歯になりますし、遅ければ遅い程虫歯になりにくいのです。
さらに重要な事は、虫歯菌が早くにうつってしまった子は、虫歯になりにくい口腔内にはならないのです。
言い換えれば、2歳7か月以内に虫歯菌に罹患しなければ、大人になっても虫歯に罹患するリスクは低いとされています。
これを知っている親御さんと、知らない親御さんでは、大きな差が出るでしょう。
スウェーデンの研究結果では、2歳までに虫歯菌の感染がなかった子が、4歳になった時の虫歯は、わずか0.3本。
一方、2歳までに虫歯菌の感染があった子は、4歳で5本の虫歯が認められたそうです。この差はなんと16倍です。
感染リスクを減らすため、注意しないといけない事があります。
1.養育者である両親が歯科医院で虫歯の治療や定期健診を行いリスクの少ない歯に管理しておく事。
やはりメンテナンスはとても大切です。お子さんだけでなくご自身の問題として、しっかり管理を行って下さい。
2.食器の共有や噛み与えをしない事。
今では少なくなったように感じますが、昔の人は子どもに食べさせる時に親が「ガジガジ」と噛み砕きを行い、その噛み砕いたご飯を子どもに与えていたという恐ろしい習慣があったようです。
もう自分の虫歯菌を直接子どもの口の中に入れているのと一緒です。絶対にやめて下さい。
さらには、温かい物を「フーフー」してあげることも辞めて下さい。
「フーフー」の中に唾液も混じっています。
お子さんの口の中に入れる箸やスプーンは、お子さんだけが使う物にしてあげて下さい。
空気感染はしませんが、唾液が付く事で感染源になってしまいますのでご注意を。
3.砂糖の多い食べ物、飲み物を控える事。
甘い物が大好きな菌にミュータンス菌という虫歯菌が、爆発的に増えてしまいます。
ミュータンス菌は甘い物を餌にドンドンと増殖してしまいますので、2歳半まではなるべく気を付けてあげて下さい。
周りの大人が気を付けてあげる事で将来の子どもの虫歯のリスクは減りますので、是非毎日の生活に注意してみて下さい。