By KOBEホワイトニング Posted 2023-12-01
~唾液について~
みなさん唾液について知っていますか。唾液にはさまざまな働きがあり、とても大切な役割があります。まず、唾液には三大唾液腺と呼ばれる耳下腺、顎下腺、舌下腺があり、口腔粘膜下に散布する小唾液腺で作られ、分泌されています。
唾液には、安静時に分泌される安静時唾液と、食べ物を咀嚼する時の刺激により分泌される刺激唾液があります。また、唾液は自律神経である交感神経と副交感神経によって調整されるので、緊張したり興奮したりすると交感神経によって粘り気のある唾液が分泌されます。そして、リラックスしている時は副交感神経によってサラサラした唾液が分泌されるのです。
また、唾液というのは1日約1000~1500ml分泌されると言われています。一番多く分泌されるのが昼間であって、逆に少ない時が寝ている時です。
では、唾液の働きについて説明していきましょう。
・湿潤・潤滑作用
食べたものの形を整えて、咀嚼・嚥下をしやすくします。また、お口の中を湿潤させることによって、口の動きや発音を円滑にします。この作用が無いとお口の中が乾燥してしまい、舌や頬が歯にくっつきやすくなってしまうのです。
・溶解作用
食べ物を溶解することで簡単に飲み込めるようにしてくれます。
・消化作用
唾液アミラーゼという消化酵素でデンプンを麦芽糖に分解します。
・体液量調整機能
身体の水分が少なくなると、唾液の分泌量が減ります。そして口が乾いたと感じて早めの水分補給をするように促します。
・自浄作用
唾液の流れによって食物残渣(食べカス)を洗い流してくれます。
・緩衝作用
お口の中は酸性、アルカリ性ととても変化しやすい環境です。お口の中が、酸性に傾いてしまうと歯は脱灰され、むし歯になってしまいます。そのため、唾液中の酸を中和して中性に保ち、歯の脱灰を防ぐので、歯の保護のためにとても重要な役割を持っています。
・粘膜保護作用
先ほど説明した三大唾液腺から分泌されるムチンという糖タンパク質が、口腔粘膜や歯肉を細菌感染から守っています。
・抗菌作用
口腔細菌などの微生物の発育を抑え、お口の中への定着を阻害します。
唾液にはたくさんの作用があり、とても大切な役割があるのです。唾液の分泌が低下してしまうと、お口の中でさまざまなトラブルが起こってしまいます。唾液の分泌が低下してしまう原因はいくつかあります。例えば、放射線治療を受けている患者さんや、薬物の副作用、重度の糖尿病、シェーグレン症候群、ストレス、そして加齢などが、唾液分泌量の低下の原因と言われています。
唾液の分泌を促すために、唾液腺マッサージというものがあります。先ほど説明をした三大唾液腺の部分を刺激すると、唾液の分泌を促すことができます。まず、舌下腺は、顎の下にあるので、両手の親指を顎にあて軽く押してあげます。顎下腺は、下顎の骨の内側に親指を当てて、耳の下から顎の下まで押していきます。そして、耳下腺は三大唾液腺の中でも一番大きい唾液腺です。耳下腺は耳の穴の少し手前に4本の指を当てて、くるくると軽く押すようにマッサージをしていきます。こうして唾液腺を刺激することで、唾液の分泌を促し、お口の中が潤うので、食事をする前や人と話をする前などに行うといいでしょう。ただし、注意が必要なのが、力を入れずに優しく行うことです。そして、唾液の分泌は1日1000~1500mlと説明をしました。唾液腺マッサージを1日に何度も繰り返し行ってしまうと、1日分の唾液を出し切ってしまうことになり、逆に唾液分泌を低下させてしまう可能性があるので、食事をする前や、人と話をする前だけするようにしましょう。
その他にも、唾液分泌を促進する食品を積極的に摂るようにしましょう。例えば、梅干しやレモン、酢の物など、酸っぱいものを食べることで唾液の分泌を促すことができます。
さて、一生懸命毎日歯磨きをしているのに、むし歯になってしまう方や、適当に歯磨きをしているのに全くむし歯にならない方がいて、納得がいかないと思ったことはありませんか。それは、お口の中のむし歯菌の数や、唾液の働きの中にある緩衝力の強さなどが関係しています。お口の中の環境は、一人ひとり全く違います。そこで、唾液を使ってむし歯菌の数を調べる検査がいくつかあるので、代表的なものをいくつか紹介したいと思います。
ミューカウントと呼ばれる検査があります。これは、口の中にいるむし歯菌のミュータンスレンサ球菌の数を測定します。この検査は24時間培養しなければいけないので、結果を得るまで時間がかかります。
次にDentcult-SM(デントカルト)と呼ばれる検査があります。この検査もむし歯菌であるストレプトコッカスミュータンス菌の数を測定します。先ほどの検査とは違い48時間の培養が必要になります。
次にDentcul―LBと(デントカルト)呼ばれる検査があります。この検査はむし歯菌のラクトバチリス菌数の測定を行います。このラクトバチリス菌は、善玉菌というイメージをお持ちの方が多いかと思います。この菌は、腸内にいると身体にとってとてもいい菌ですが、お口の中ではむし歯をどんどん作ってしまう悪い菌なのです。この検査には4日間の培養が必要になってきます。
どの検査も24時間を超える細菌培養が必要になり、37℃の恒温槽、特殊な判定機器がいるものが多いです。そこで、簡易的に行える検査法が開発されました。それがRD(レサズリン・ディスク)テストと呼ばれる検査です。これは、約15分間でむし歯菌の細菌数を判定することができます。また、このRDテストは透明フィルムで、腕に貼付して体温で保温するので、恒温槽が必要ありません。
むし歯菌数の測定だけでなく、歯周病菌の検査もあります。これらの検査の評価に基づいてむし歯や歯周病が進行しやすいか、しにくいかの判定や、むし歯ができやすいかどうかの判定を行うのに使用したりすることもあります。むし歯や歯周病になりやすい方は、定期検診の間隔をなるべく短くして予防を行っていきます。また、むし歯が見つかれば早期発見・早期治療で負担の少ない治療が行えるかと思います。