虫歯放置してませんか?根っこの治療について

By KOBEホワイトニング Posted 2021-08-20

根っこの処置について

 

今回は根っこの治療について詳しくお話します。

 

歯の中には「歯髄」といって、体と同様、歯にも神経があります。

虫歯じゃなくても歯がしみたり、温かいものを食べたら少し歯が温度を感じたりするときってありませんか?

 

それは、歯に神経があるからです。温度を感じることは歯が生きているという事。

逆に歯の神経を取ってしまうと、冷たい物を感じなくなります。

神経を取る事を専門用語で「抜髄(ばつずい)」と言います。字の通り、神経を取る事です。

乳歯の場合は、神経を取っても次に生えてくる永久歯が控えていれば、大きな問題はありません。

しかし永久歯の場合は、もう次に生えてくる歯がないので神経を取ってしまうと一生神経がないままで過ごさなければなりません。

 

では、何故神経を取る事になってしまうのでしょう?

 

原因は3つあります。

1.神経を取らないといけない程の虫歯になってしまったケース。

この場合は専門用語でC3(シースリー)と言います。C3は、神経まで虫歯が達している状態で、激しい痛みを伴います。

痛み止めも効きません。この場合は、麻酔をかけ歯に大きな穴を開けて神経を専用の器具を使用し取っていきます。

あまりにも痛みが強い時に来られても、麻酔が効きにくく、かなり治療に痛みを伴う事もあります。

麻酔が効きにくい場合は、神経に直接麻酔を打ちます。屈強な男性でも思わず声を挙げてしまうくらい

 

2.知覚過敏が酷い場合

知覚過敏症と言って虫歯でもないのに歯が凄くしみる方がいます。

ブラッシングの圧が強過ぎたり、食いしばりからくる歯のすり減りや、くさび状に歯が破損してしまうくさび状欠損。

これらが原因で何もしていなくても歯がしみて痛む場合は、止む無く歯の神経を抜いてしまう事もあります。

 

3.外傷で歯を折ってしまった場合

良くあるのが中高生の学生さんが、スポーツをしていて前歯に道具が当たって歯が折れたというパターン。

かわいそうな事にかなり頻度が高いです。野球のバットが前歯に当たる。テニスのラケットが前歯に当たる。ホッケーのスティックが当たる。

見事に前歯にヒットしてました…大きく歯が欠けて神経が出ている場合は、神経を取らざるを得ません。

このままだと痛みが引かないので、神経を取って最終的には、被せ物で折れた歯を修復します。

 

 

このように神経を取る治療は、虫歯だけが原因ではありません。

様々な要因で神経を取る可能性は誰にでもあるのです。

 

 

神経をとったあとのリスクは?

神経はそもそも血液が循環しており、たくさんの栄養を歯の中に巡らせています。

神経を取るという事は、歯の中の栄養をシャットアウトしている状態です。

神経を取って栄養の行きわたっていない歯は、感染しやすく、破折しやすいです。

 

木の枝で例えると、森林などにある木は、根っこが土の中に這い、土から栄養を補ったりしています。

そんな木の枝は相当な力を入れないと折れません。

しかし腐敗が進み栄養分が遮断された枝はもろく少し力を入れただけでポキンっと折れてしまいます。

歯も同じようなイメージです。栄養素が循環しないので歯にヒビが入ったり、歯が割れてしまったりする訳です。

だからこそ、歯科医師は出来るだけ神経を取らないようにという思いで、治療にあたってくれるのですが、状況によっては神経を取らないといけない場合も残念ながらあるのです。

 

さらには、神経の処置が終わり最終的な被せ物が入っても、また根の先が感染して根っこの消毒を行わなければならない事もあります。

栄養素がない歯なので、バイ菌を殺す力もありません。

根の先が膿んでしまい、せっかく入れた被せ物も壊して外し、根っこの中の治療を行う事になってしまう場合があります。

症状は温かい物がしみてきたり、噛んだら痛かったりします。

根っこの中から膿が出てきたりする場合もありますし、再度根の中をキレイに洗浄、消毒を行います。

しかし1度ではキレイになりません。

数回歯医者に通い、根の中の消毒を行い根の中がキレイになったのが確認でき次第根っこの中を、再感染しないように密閉するお薬が入ります。そして最後にまた新しい被せ物の型取りをし、被せ物が入るという流れです。

 

こんな大変な思いをするのなら、神経じゃなくていっそのこと歯自体を抜いて欲しい!と訴える患者さんも数名いらっしゃいます。

しかしながら、歯は抜いたままには出来ないのです。

1本歯がないだけでも、口腔内はガラッと悪い方向に変わってしまいます。

親知らずや、歯列不正で歯を抜いてしまう事はありますが、それ以外の場合大抵は、抜歯後何かしらの処置が必要となります。

 

例えば上の大きな前歯が、神経を取らないといけないくらいの大きな虫歯になってしまったとしましょう。

この場合本来なら、前歯に麻酔を打ち裏側から大きな穴を開けて神経をとり、洗浄、消毒を数回行います。

最終的には、被せ物が入り完成です。この場合施術を施した歯はその歯1本です。

対して、神経の処置をするくらいなら、抜歯をして欲しい。と訴える方の治療法は、麻酔を行い抜歯をします。

抜歯だけなら、その日で処置は終わるでしょう。しかしながら歯抜けの状態のままでは、見た目も問題です。

機能的な事では噛みづらくなりますし、隣の歯が寄ってきたり、下の前歯が上の相方の歯を探すようにドンドン伸びてきます。

こうなってしまうと様々な歯を削り、噛み合わせ整える事になるでしょう。

また、抜いた後の骨が吸収され歯のあった所のへこみ具合がかなり目立つ事になるでしょう。

欠損部位を補う処置も、根の治療に比べ高額ですし、通院回数もかなりかかってしまいます。

どちらが大変か、どちらが歯にとって負担が多いか一目瞭然ですよね?

 

でも、歯の根っこの治療ってなんでこんなにも時間がかかるの?という疑問は歯医者に通って根の治療を受けた経験のある方は少なからずあるかと思います。

何故根っこの治療が回数と時間がかかるかお話します。

 

まず神経がある部屋を「根管(こんかん)」と呼びます。根管は歯によって部屋数が違うのです。

欠損がない状態で前歯は、中心から数えて3番目までの歯です。前歯の根管は1つ。

前から数えて4番目5番目の歯は小臼歯といって小さい臼の歯と書きます。小臼歯の根管は2つです。

奥歯は大臼歯と言って大きな臼の歯と書きます。大臼歯は根管が3~4つあります。

単純計算奥歯は前歯の3~4倍の時間がかかる訳です。

 

さらに根管はとても細く狭い部屋です。直径1ミリ以下と言われています。

そんな根管をキレイにする為に、専用の細い針金のような器具を使用します。

その器具を使用しながら根管を拡大して消毒しやすいようにしていきます。

一気に拡大してしまうとヒビが入ったり、歯が割れてしまったりして歯を残すための治療なのに歯を抜かないといけない状況になってしまいます。ですから慎重に治療しなければなりません。

 

さらにさらに、根管は全ての根っこが真っすぐな訳ではなく、奥歯は湾曲が強かったり、枝分かれしていたりしています。例えるならば、冷蔵庫の裏側を壁と壁の細い隙間から見つつ、コンセントの配線をお掃除するような難しさです。

もちろん肉眼では見えませんので歯科専用のマイクロスコープやCTを必要とします。

虫歯や、根っこの感染は唾液もひとつの原因です。

ですから、処置中は唾液が入らないようにする器具を使用して細心の注意を払い治療します。

 

何故時間や回数がかかるかご納得頂けましたでしょうか?

「お金を稼ぐ為」だの言われると毎日根っこの処置と戦っている歯科医師達はショックがるでしょう…

 

しかし、歯科医師もわざわざ治療の難しさを自ら語ろうとはしないので、患者さん自身も毎回何をされているのか不安ですよね?なので、この文章を読んで頂き根っこの処置をしているあなたの不安が少しでも減りますように。

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